Q.給与所得者が,有給休暇を事故による欠勤中に使用した場合に賠償はどうなりますか。

[休業損害,有給休暇,減収,用廃,症状固定,赤い本,足関節]

A. 事故後によって欠勤をしたものの,有給休暇を使用したために,結果として減収とならないことがあります。
その場合には,使用した有給休暇に対して休業損害として賠償の対象となるというのが裁判例の大勢です。
それは,自由に別の目的で使用できたはずの有給休暇を事故による欠勤を埋めるために使用せざるを得なかったからです。

1  欠勤による有給休暇使用は休業損害
【いわゆる赤い本平成30年版p72の判決】
土木建設会社部長(男・58歳)の年次有給休暇(63日分)につき,本来なら自分のために自由に使用できる日を事故による傷害のために欠勤せざるを得ない日に充てたとして,休業損害算定の基礎日数とした
(神戸地判平成13年1月17日,交民集34巻1号23頁)


2 有給休暇の1日あたりの算定金額
年次有給休暇の1日あたりの金額について賞与を除く年収とした判決があります。

【いわゆる赤い本平成30年版p72の判決】
有給休暇1日あたりの金額に争いがある事案につき,賞与を除く年収を稼働日数(366日から勤務所定の休日から差し引いた日数)で除した金額が相当であるとした
(東京地判平成18年10月11日,交民集39巻5号1419頁)


3 有給休暇のカット
欠勤に対して有給休暇を使用したことにより事故翌年度以降の有給休暇がカットされる場合があります。
これについては,カットされた有給休暇を休業損害として認める判決があります。

【いわゆる赤い本平成30年版p72の判決】
会社員(男・事故時34歳,右足関節用廃等併合5級)につき,事故による293日の休業のため出勤日数が全労働日の8割に満たなくなったことによる事故翌年度発生分,翌々年度発生分各10日間の有給休暇減少分を休業損害として認めた(大阪地判平成20年9月8日,交民集41巻5号1210頁,自動車保険ジャーナル・第1781号)

 

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