Q.軽度頭部外傷が重症化する(セカンドインパクト症候群)とは何ですか。

[セカンドインパクト症候群,急性硬膜下血腫,硬膜下血腫]

A.


1 セカンドインパクト症候群とは
脳しんとうあるいはそれに準ずる軽症の頭部外傷を受け,数日から数週間後に二回目の頭部外傷を負い,致死的な脳腫脹を来すものを言うとされています(太田富雄総編集「脳神経外科学」p2007金芳堂)。

2 発症のメカニズム
セカンドインパクト症候群について二回目の頭部外傷においては,ほとんどが急性硬膜下血腫を伴うことが報告されており,そこで脳しんとう続いた場合において果たして発症するのかが問題となっています。
この点は,セカンドインパクト症候群の本態がvasoparalysis(血管神経麻痺)による急性脳腫脹であるのか,それとも急性硬膜下血腫とそれに伴う半側大脳半球腫脹であるかにかかわるものですが,結論は出ていないようです。
さらに,第一回目の脳しんとうが臨床症状は脳しんとうのように見えても実は軽度の急性硬膜下血腫も含まれており二回目で,それが増悪したという仮説もあり,確定的な説は現在は確立されていないようです。

3 交通事故との関連
セカンドインパクト症候群は,格闘技やラグビー・アメリカンフットボールのようなコンタクトスポーツに多く見られます。
交通事故で連続した脳しんとうを仮に時間的に近接して発症した場合にセカンドインパクト症候群となりうるかは,現在の知見では疑問であると言えるかもしれません。

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