Q.運動ニューロンとは何ですか。その損傷は,どのような障害をもたらしますか。

[アキレス腱,トレムナー,ホフマン,ワルテンベルグ,下腿三頭筋,介在ニューロン,大脳基底核,大腿四頭筋,膝蓋腱,運動ニューロン]

A.

ニューロンとは神経細胞のことです。運動をつかさどるものが運動ニューロンです。
運動ニューロンは上位運動ニューロンと下位運動ニューロンとに分類されます。
上位運動ニューロンの障害からは,痙縮,深部反射亢進,病的反射など錐体路徴候とよばれるものが出現します。

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1 ニューロン(神経細胞,ドイツ語ではノイロン)
神経組織はニューロン,グリア細胞,血管からできています。
神経系は,個々の神経細胞が持つシナプスで互いに結合してニューロンからニューロンへとインパルス(信号)を伝達する神経回路網を作り多用な情報処理を行っています。


ニューロンは樹状突起(dendrite)・軸索(axon,神経線維)・軸索末端から成り立っています。
樹状突起は結合部であるシナプスを通して他のニューロンからの情報を受容する機能をしています。
軸索は情報を電気的なインパルス(信号)として電線のように遠くに伝える機能をしています。
そして,軸索末端は,次のニューロンとシナプス結合をして化学伝達物質を放出して情報を発信する機能をしています。

2 ニューロンの分類
働きによって(1)感覚ニューロン(2)運動ニューロン(3)介在ニューロンに分類されます。

(1)感覚ニューロンとは,見る・聞く・感じる・臭うと言う感覚に関するものです。

(2)運動ニューロンとは,今ここで問題とする運動に関するものです。

(3)介在ニューロンとは,感覚ニューロンからの入力を演算,加工して運動ニューロンに出力するものです。

3 運動ニューロンの分類
脳から脊髄までの部分を支配するのが上位運動ニューロン
脊髄から骨格筋(各骨格についている筋肉)までを支配するのが下位運動ニューロン

4  上位運動ニューロン
大脳皮質運動野(運動皮質)から出て,錐体路とともに下行して,下位運動ニューロンを支配しています。人間が自分の意志に従った運動(随意運動)ができるのは,このおかげです。

上位運動ニューロンが下位運動ニューロンを支配していることから,上位運動ニューロンに障害が生じると,下位運動ニューロンは,その支配から解放されて勝手に働くようになってしまいます。
痙縮,深部反射亢進,病的反射など錐体路徴候とよばれるものが出現します。

5  下位運動ニューロン
脊髄と骨格筋を結ぶものが下位運動ニューロンです。

筋を収縮させるα運動ニューロン
筋紡錘(注:筋の伸展度を感受して中枢に伝える装置です。)を支配するγ運動ニューロン

γ運動ニューロンは上位運動ニューロンからの支配を受けて調整されています。
したがって,筋収縮はα運動ニューロンとγ運動ニューロンとが共同して働いています。

 


6 反射
実は,運動の大部分は随意的と言うよりも反射的です。
最も基本的な反射は単シナプス反射(注:反射中枢においてシナプス結合が1つだけの反射)である深部反射でα運動ニューロンを興奮させて収縮させるものです。

膝蓋腱反射(大腿四頭筋反射),アキレス腱反射(下腿三頭筋反射)等の深部反射がこれです。

皮膚や粘膜の刺激で筋が反射的に収縮するのが表在反射で多シナプス反射(注:2つ以上シナプスが介在してゆっくり起こる反射)です。
深部反射も表在反射も正常人であっても通常に見られる反射です。

しかし,正常ではほとんど出現せずに,

上位運動ニューロン障害によるにより出現するのが,ホフマン反射,トレムナー反射,ワルテンベルグ反射(リンク),ロッソリーモ反射,メンデル・ベヒデレフ反射,クローヌス(膝蓋・足)です。

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