Q.脳損傷による片麻痺と脊髄損傷による片麻痺の違いは何ですか。
A.
片麻痺の多くは,脳損傷によるものです。
脊髄損傷によるものは少ないとされています。
片麻痺が見過ごされる可能性もあり得ます。
体の片側の上下肢にみられる運動麻痺を言います。
原因となる障害部位は脳の内包付近が多く,その他には大脳皮質,脳幹,脊髄の損傷によっても起こります。
(1)内包付近
反対側の顔,舌,上下肢に中枢性麻痺が起こります。
(2)大脳皮質及び皮質下
片麻痺に加えて失語,失行,失認,皮質性感覚障害を伴います。
(3)脳幹
交叉性片麻痺と呼ばれる一側の片麻痺と他側の脳神経麻痺を伴います。
なお,一側の上肢と片側の下肢が麻痺するものを交差性片麻痺(字が似ていて同じ読み方ですが,違います)と呼び,延髄錐体交叉部の障害によるものとされていましたが,現在では,これも含めて交叉性片麻痺としています。
実は,脊髄損傷による片麻痺はまれであるとされています。
ただし,頚髄損傷の場合には起こることがあります。
その際には,いわゆるブラウン・セガール症候群として半側の感覚障害を伴います。
大脳,脳幹障害による片麻痺では著明な筋萎縮はみられないとされています。
もし,筋萎縮があらわれたとすれば,それは筋肉を使用しないことに因るいわゆる廃用性のものです。