Q.大脳前頭葉の障害からは,どういう後遺障害(後遺症)となりますか。
A.
前頭葉の機能として主なものは,高次脳機能としての精神機能,運動及び発語です。
障害されると,当然にそれらに関する症状が出現します。
そして,後遺障害(後遺症)として残存する恐れがあります。
1 どのような高次脳機能障害が出てきますか。
感情,知能,人格,発語に関する障害が出てきます。
なお,左右両側の前頭葉が障害されるとはっきりとした障害があらわれますが,
左右の一側だけでは,症状が出ないか出ても軽いとも言われています。
また,前頭葉内側の障害では,精神発動性の低下,つまり無気力,無言という状態になるといわれています。
2 どのような運動障害が出てきますか。
(1)運動野だけの障害→弛緩性麻痺
(2)運動野+前運動野の混合型→痙性麻痺
さらに,前頭葉の障害で平衡機能の障害が生じることがあるとされています
なお,前頭葉ブロードマンエリアには注視中枢があり,病側に向かう共同偏視が生じることがあります。
共同偏視とは,両眼の水平方向,一方向への偏位を言います。
その場合に,病側だけに偏位して,健側に眼球が向かなくなる注視麻痺が起こることがあります。
3 発語の障害
前頭葉ブロードマンエリア44はいわゆるブローカ領域です。この障害によりブローカ失語となります。
4 その他の障害
左右の前頭葉の障害で,尿失禁,排尿障害が起こることがあります。
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注視麻痺(リンク)
ブローカ失語(リンク)
頭蓋骨骨折(リンク)
排尿障害(リンク)