Q.頚椎神経根症とは何ですか,後遺障害(後遺症)はどうなりますか。
多くは頚椎椎間板ヘルニアによる自覚症状の1つです。他覚的所見,画像所見の裏付けがあれば,後遺障害12級13号に該当します。
なお,ヘルニアと診断書に書いてあるからといって,必ずしも神経根症として,後遺障害12級13号に該当するとは限りません。
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1 頚椎神経根症の自覚症状
(1)片側の肩甲骨周囲の背中が痛い
(2)上肢へ拡散する痛み,しびれと感覚(知覚)障害
(3)脱力,筋萎縮,筋の攣縮(れんしゅく)
2 頚椎症状
頚椎椎間板ヘルニアがあるからといって,全部が神経根症となるわけではありません。
もし,診断書に頚椎椎間板ヘルニアと書いてあったとしても次の頚椎症状であれば,頚椎捻挫(むち打ち)どまりです。後遺障害に該当しないこともあり得ます。
(1)後頭部・頚部から肩甲骨周囲の背中が痛い(←ここまでは神経根症と同じ)
(2)シビレと頚椎運動制限がある(←これも近い)
(3)但し,運動制限は動かすと悪化するが安静にしていれば軽くなる(←ここはかなり違う)
3 頚椎神経根症の他覚的所見
(1)上肢の筋力の低下と筋萎縮,感覚(知覚)障害
(2)深部腱反射の減弱(頚椎8番神経を除いて)
但し,支配神経根とそれらが一致していることが必要
4 画像所見
(1)単純レントゲン写真
脊柱管が細くなると,わずかなヘルニアでも神経圧迫から神経根症状が生じます。
単純レントゲン写真では,神経は当然に写りませんが,脊柱管前後径を測定して細くなっているか(:狭窄があるか)を調べるのには有用とされています。
(2)MRI
ヘルニアがあるか,その状態はどうかを調べるのに有用です。もちろん,神経は写りませんが,ヘルニアの状態から神経を圧迫しているかどうかの状態は分かります。
なお,
(3)画像「所見」
他覚的所見で認められる神経症状をもたらしている,つまり神経の支配領域と画像で圧迫の所見が認められる神経とが一致しなければなりません。
5 鑑別が必要とされている他の疾患
(1)胸郭出口症候群(リンク)
(2)肩関節周囲炎,五十肩
(3)肘部管症候群(リンク,ティネル徴候)
(4)手根管症候群