Q.カウザルギー,RSD,CRPSとは何ですか。それぞれの関係は,どうなりますか。---後遺障害賠償は,むさしの森法律事務所
末梢神経損傷を伴うものがカウザルギー,伴わないものがRSDです。
RSDにおいて,交感神経に関与していない持続性疼痛においても広く呼ばれるようになり混迷をしていました。
その点から,再定義をした概念がCRPSです。
カウザルギー(causalgia)とは,末梢神経損傷後に,その神経の感覚神経支配領域を超えて起こる強い疼痛を主症状として,血管運動障害や皮膚の栄養障害等の自律神経症状を伴う症候群を言います。
RSDは,Rflex Sympathetic Dystrophyの頭三文字です。日本名は反射交感神経性ジストロフィーです。
カウザルギーが末梢神経損傷後の症候群であるのに対して,末梢神経損傷の有無にかかわらず,四肢遠位部の小さな外傷,骨折,小手術等をきっかけにしてカウザルギーと同様の症状を来す疾患を言います。
身体一部が損傷されると交感神経反射が生じて血管が収縮して出血を止めたり,腫脹を抑えようと働いていきます。
外傷の治癒と共に,その交感神経反射も通常であれば消失します。
しかし,外傷が治癒したのに関わらず,交感神経反射が亢進を続けて血管収縮をしたまま血流が悪くなり,そのために疼痛が発生するものがRSDです。
CRPSとはComplex Regional Pain Syndrome:複合性局所疼痛症候群であり,国際疼痛学会によるカウザルギー,RSDの再定義を含む再分類です。
すなわち,複合性局所疼痛症候群として,
末梢神経損傷を伴わない場合をタイプ1,
伴う場合をタイプ2とするものです。
RSD,カウザルギーが,それぞれに対応するようにも思われます。
しかし,医学的な診断あるいは研究用のものであり,後遺障害認定に関する慢性期の段階の傷病を意味するものとは次元を異にすると言われています。
なお,ズデック萎縮(こちらをクリック)も現在では,CRPSに含まれる病態とされています。
4 カウザルギー,RSDの後遺障害認定はどうでしょうか (クリックすると回答)
自賠責基準が準拠している労災補償基準では
カウザルギー,RSDとも
①関節拘縮
②骨の萎縮
③皮膚の変化(皮膚温の変化,皮膚の萎縮)
という慢性期の主要な3つのいずれの症状も健側と比較して明らかに認められる場合に限るとされています。
なお,認定の3要件とも言われています。