Q.高次脳機能障害3級ですが,将来の介護費用は認められますか。
自賠責認定においては,後遺障害3級は,介護の対象とはされておりません。
しかし,高次脳機能障害においては,訴訟あるいは交渉においても,
3級であったとしても常時ないし随時の見守りや看視が必要であれば介護費用が認められます。
1 近親者介護に加えて職業介護を認める場合
「日常生活が十分にできず,精神的に不安定であり感情の抑制ができず自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれもある(高次脳機能障害3級)」ため,
妻が「看視と声かけを欠かすことができない」状態であるならば(横浜地裁川崎支部平成15年7月15日判決),
あるいは,3級であっても,「食事の摂取,身辺の清潔保持等の介助を欠かすことができず
介護を要する2級3号に近いならば(札幌地裁平成17年1月27日判決)みとめられることになります。
しかし,
症状固定後も就労は不可能であり,社会適応力に欠けるものの,日常生活はおおむね独りでこなせ,
親しい者以外に対して暴力を振るう具体的危険性までは認められない場合には,
職業介護による介護の必要性が問題になります。
この点で,近親者介護から,将来介護者の高齢となることを考えて途中から
職業介護を前提とした介護費用にすることが考えられます(大阪地裁平成20年4月28日判決)。
2 近親者介護のみを認める場合
近親者介護のみを認める場合は,比較的多く見られますが,
日額が3000円から6000円程度とばらつきがあります。
①見守り,監視の頻度と密度
②麻痺あるいは高次脳機能障害以外の障害により,身体介護をも要するか
③要介護者の年齢と介護する近親者の年齢及び他の家族構成
これらの総合的な判断で金額が判断されていると考えられます。
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高次脳機能障害における介護の意味(リンク)
常時介護と随時介護(リンク)