Q.高次脳機能障害とは何ですか。どのような症状がありますか。
高次脳機能とは,運動機能,知覚機能という一次的機能によって得られた情報をより高度なものにしていく脳による神経機能です。
その障害が,高次脳機能障害です。
具体的な症状としては,次のようなものがあります。単独で出現することもいくつか併存して出てくることもあります。
失語:
失行:
失認:
半側空間無視:
記憶障害:
地誌的障害:
遂行機能障害:
注意障害:
構成障害:
情動や人格の障害:
脳の機能には,3つのものがあります。
第1が,手足や顔を動かす運動機能
第2が,音とか臭い,肌触り等を感じる知覚機能
第3が,記憶・認知・感情・言葉を支配する高次脳機能
です。
つまり,運動機能,知覚機能という一次的機能によって得られた情報をより高度なものにしていく脳による神経機能が高次脳機能なのです。
この高次脳機能が脳損傷によって障害が残ることを高次脳機能障害と言います。
脳の損傷には,局所的脳損傷とびまん性(全般的)脳損傷に区分されます。
局所的脳損傷は,脳の該当箇所が担当する種類別機能の障害として現れて「巣症状」と言われます。
これに対して,びまん性軸索損傷は,脳神経繊維による脳内のネットワークが広範囲に損傷されるために,直接に損傷された巣症状にとどまらずに,ネットワークによる連結機能,つまり高次脳機能の障害が出現することが多く見られます。
なお,びまん性軸索損傷については,こちらを参照して下さい。
☆びまん性軸索損傷は画像所見ではどのように判断されますか。意識障害についてはどのように判断されますか。---高次脳機能障害は,むさしの森法律事務所へ
(リンク)
また,頭蓋骨骨折がなくとも,びまん性軸索損傷による脳損傷が生じます。
☆頭蓋骨骨折になると,すべて高次脳機能障害等の重度の後遺障害(後遺症)になるのでしょうか。重症化する頭蓋骨骨折にはどのようなものがありますか。---交通事故賠償は,むさしの森法律事務所へ
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3 高次脳機能障害の具体的な症状は,次のものがあります。(クリックすると回答)
失語:他人の考えを理解し,自分の考えを表現することが困難な状態
失行:指示された内容は理解しているにもかかわらずに,そのことができない状態
失認:以前に学習した対象を認識できない症状
半側空間無視:損傷した脳の反対側の刺激には反応しないで,そちら側の空間を無視して向こうとはしない症状
記憶障害:新しいことが覚えられなくなる症状,同じことを何度も質問する。ものの置き場所を忘れてしまう。
地誌的障害:自宅でトイレに迷っていけなくなる。近所で道に迷う。
遂行機能障害:自分では何もしない。指示をされれば行動できるのに,指示なしでは行動できない。
注意障害:作業ミスが多い。よそ見をしたりして作業に集中できない。指示されてもそれに関心を払わない。
構成障害:部分が全体の中で,どうなっているのか。部分毎の位置づけが理解できなくなっている障害です。
情動や人格の障害:
欲しいものを我慢できない。お金の感覚がなくなりあるだけ使ってしまう。言われないと何もしない。
激しく怒って興奮する。突然に興奮したり,怒ったりする。落ち着きがない。気分が沈みがちになる。気分がすぐに変わりやすい。
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なお,基本的な高次脳機能障害に関する検査方法は,次の記事を参照して下さい。
☆高次脳機能障害における知能や記憶に関わる検査方法にはどのようなものがありますか。(リンク)
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