Q.(頭蓋骨骨折)頭蓋底骨折とは何ですか。後遺障害(後遺症)となりますか。
脳が入っている頭蓋骨の底の部分における骨折です。後遺障害(後遺症)を残す可能性がかなりあります。
1 頭蓋底骨折とは
頭蓋底にたわみに発生する外力が加わると,頭蓋底に屈曲した線状の骨折が発生します。
頭蓋底には孔や薄い骨があり,その部分に骨折が発生します。
その孔には血管や脳神経が通っているために,
この骨折によってそれらが損傷することがあります。
2 症状
(1)皮下出血
皮下出血により眼鏡状のパンダの目のような状態になります。
受傷後数時間から数日して出現します。
(2)鼻出血,耳出血
ほとんど常に鼻出血を伴うとされています。
耳出血の場合に外耳損傷だけではなく鼓膜損傷の場合があります。
しかし,鼓膜損傷が無く耳出血が無くとも,
鼓室内血腫となり聴覚障害
を起こすことがあります。
(3)脳神経麻痺
嗅神経障害は,最も頻度が高いとされており,
しかも頭蓋底骨折がなくても,
外力によっては脳と頭蓋骨底とのずれが生じて両側の嗅神経が損傷して
嗅覚脱失
が生じることがあります。
頭蓋底骨折でも前頭頭蓋底骨折(頭蓋底の顔側における骨折)によって視神経管骨折が起こることがあります。
特に,受傷時に意識障害がある場合に見落とされやすいと言われています。
頭蓋底骨折により動眼神経,滑車神経,外転神経の麻痺が生じて複視を生じることがあります。
顔面神経麻痺も生じることがありますが,
骨折程度によっては,受傷直後から生じる場合と遅発性に数日間を経てから生じることもあります。
(4)髄液漏(鼻漏,耳漏)
頭蓋底骨折によって硬膜も損傷することがあります。
硬膜損傷も伴えば,脳脊髄液が漏れ出て鼻孔からあるいは中耳等を通って耳孔から流出します。
髄液鼻漏の程度が大きいと髄液が漏れるのと引き替えに大量の空気が頭蓋内に流入します。
その結果,頭蓋内圧が亢進して脳圧迫(緊張性気脳症)となり,
重篤な状態となり緊急手術が必要となります。
3 後遺障害(後遺症)
聴覚障害,特に難聴あるいは耳鳴
嗅覚脱失
複視
視力障害
視野障害
また,強い外力のため,びまん性軸索損傷も生じており,高次脳機能障害となっている可能性もあります。
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頭蓋骨骨折(リンク)
びまん性軸索損傷(リンク)
高次脳機能障害(リンク)