Q.反射異常とは何ですか。後遺障害(後遺症)との関係はありますか。
反射とは,意識をしないで筋肉(骨格筋・平滑筋)などに反応を引き起こすことをいいます。
反射異常とは,反射が減弱・消失したり,逆に亢進している場合には,後遺障害(後遺症)との関連を知る手がかりになることがあります。
1 深部反射(腱反射)
腱,骨膜,ときに骨,関節などに刺激が加わり,筋肉が伸張しておこされる反射です。
反射の経路は一方向性であり,受容器→求心性神経→中枢神経→遠心性神経→効果器を経由します。
これを反射弓(reflex arc)と呼びます。
深部反射(腱反射)は,反射中枢の存在レベルから脊髄反射と呼ばれ,また腱反射とも呼ばれながら,受容器は腱ではなく筋紡錘にあります。
その筋紡錘を叩いて刺激することで筋の単収縮をさせて関節の屈曲により筋肉が伸張しておこされる反射です。
シナプス接続が1個のため,単シナプス反射とも呼ばれ,脊髄中枢と末梢神経で完結する反射を筋の働きで見るものです。
反射が減弱・消失していると,反射弓の障害が疑われます。
原因として,末梢神経・後根・前角の障害の可能性があります。
2 表在反射
表在反射とは,皮膚及び粘膜を針,綿などで刺激して起こる反射です。
皮膚の表在反射の消失は錐体路障害を示す徴候です。
表在反射は,深部反射よりも実は複雑です。
それは,表在反射弓が,脊髄反射弓のみならず,皮質路(求心性,遠心性)ともに構成されているからです。
そのために,感覚刺激は,脊髄中枢から頭頂葉まで上がって,前頭葉運動野に行き,錐体路に沿って下がってくるというシナプス接続が複数である多シナプス反射です。
減弱,消失が認められることで,錐体路障害が疑われます。
ただし,反射によっては両側性ではなく一側性の場合にのみ疑いというものもあります。
3 錐体路性反射
錐体路(pyramidal tract)とは,延髄の錐体を通る経路をいいます。
錐体路は皮質脊髄路(corticospinal tract)とも呼ばれており,随意運動の刺激を伝える伝導路とされています。
錐体路の中枢は大脳皮質の中心前域と頭頂葉領域にあり末梢は全身の骨格筋を支配して終わります。
反射亢進については,上位運動系つまり錐体路からの抑制が無くなるためと考えられます。
脊髄中枢に原因がある可能性が出てきます(錐体路障害)。
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腱反射(深部反射)検査方法(リンク)