Q.蓄尿障害・排尿障害とは何ですか。その後遺障害(後遺症)は,どうなりますか。
1 蓄尿障害・排尿障害の分類はどうなりますか。
泌尿器の障害については,医学的には
過活動膀胱
低活動膀胱
に分類されることがあります。
ところで,後遺障害認定は,
蓄尿障害
排尿障害
に分類しています。
過活動膀胱は「蓄尿障害」
低活動膀胱は「排尿障害」
に対応していると言えます。
2 蓄尿障害にはどのようなものがありますか。
(1)無抑制収縮UIC(uninhibited
contraction)
蓄尿期に膀胱(排尿筋)が弛緩しないで,不随意に収縮してしまう症状です。
尿意切迫感,頻尿,および切迫性尿失禁などの蓄尿症状が出現します。
(2)無抑制括約筋弛緩(あるいは,無抑制筋弛緩UIR uninhibited
relaxation)
蓄尿期は,膀胱(排尿筋)が弛緩し,尿道括約筋が収縮するのですが,
持続的にあるべき尿道括約筋の筋活動が不随意に消失して弛緩し(=つまり緩くなってしまい),
尿失禁の原因となる病態をいいます。
3 蓄尿障害による後遺障害はどうなりますか。
(ア) 尿失禁を残すもの
a. 持続性尿失禁を残すもの→7級
b. 切迫性尿失禁及び腹圧性尿失禁
a)終日パッド等を装着し,その上,パッドをしばしば交換しなければならないもの→7級
b)常時パッドを装着しなければならないが,パッドの交換までは要しないもの→9級
c)常時パッドの装着は要しないが,下着がぬれるもの→11級
(イ) 頻尿を残すもの
頻尿を残すもの→11級
「頻尿」とは,次のいずれにも該当するものを言います。
a. 器質的病変による膀胱容積の器質的な現象または膀胱若しくは尿道の支配神経の 損傷が認められること
b. 日中8回以上の排尿が認められること
c. 多飲等の他の原因が認められないこと
4 排尿障害にはどのようなものがありますか。
(3)排尿筋外括約筋協調不全DSD(destrusor-external sphincter
dyssynergia)
排尿期に陰部神経の放電が消失せず,弛緩すべき外尿道括約筋の収縮の筋活動が消失せず持続する症状です。
つまり,尿道が収縮したままになって緩まず尿が出にくくなります。
(4)低活動膀胱(uderactive bladder)
低活動膀胱とは,排尿時の膀胱収縮が障害されたものであり,そのために尿排出が困難となります。
膀胱を支配する末梢神経である骨盤神経が末梢レベルで障害されたときに多く発症するとされています。
5 排尿障害による後遺障害はどうなりますか。
a. 残尿が100ml以上であるもの→9級
b.
残尿が50ml以上100ml未満であるもの→11級
--------------------------
尿流動検査法UDS(リンク)
無抑制収縮UIC(リンク)
排尿筋外括約筋協調不全DSD(リンク)
低活動膀胱(uderactive bladder)(リンク)