後遺障害の認定のためには,症状固定をしてから損害保険料率算出機構自賠責損害保険調査事務所(長いので,自賠責調査事務所と言います。)に該当性と等級の判断をお願いすることになります。後遺障害認定について,一括支払いをしていた損害保険会社(共済)を通じて行うことを事前認定と言います。交渉の前提として被害者であるあなたについて後遺症(後遺障害)の有無あるいは等級を事前に認定しておく必要があるからです。これに対して,被害者であるあなた自らすることを被害者請求と言います。
後遺障害の認定は,自賠責調査事務所が行うものですが,これはその後に示談交渉・紛争処理センター,さらに裁判においては,極めて重要な意味を持っています。それは,その認定結果は,本来は法的効果はないのですが,その沿革と膨大な情報量の蓄積による権威から裁判所さえも実際上拘束されるからです。
自賠責調査事務所の等級認定に対して,裁判所においてそれを上回るような等級が認定されると,その理由や判断基準あるいは他の事例に及ぼす影響が議論の的になるほどに大変なことであるのです。ですから,あなたの身体や精神に残されてしまった不調に対して,自賠責調査事務所に正しく判断させることは,損害賠償を請求する上では決定的に重要なことなのです。
後遺障害の認定に対して不服があれば,異議の申し立てができます。それは,事前認定の結果に対しても被害者請求の結果に対しても同じです。また,繰り返し申し立てすることができます。異議の申し立ては,事前認定の結果に対して一括支払いをしていた損害保険会社(共済)を通じて行うことも数多くあります。しかし,その場合には,漫然と異議申立書を提出するだけでは結論は目に見えています。むしろ,この段階で被害者請求に切りかえて,新しい資料,特にお医者様の診断書・意見書・画像等をきちんと補充して行っていくことを検討すべきでしょう。
また,異議申し立てをせずに,いきなり訴訟で認定されたよりも高い等級を主張していくことも理屈上は可能です。但し,その場合には医学的立証にかなりのエネルギーを割かれることとなります。従って,まずは異議申し立てをすることがよいと考えます。 なお,異議申し立てをしたとしても,希望通りの等級への変更が必ずなされるとは限りませんので注意が必要です。
☆後遺障害認定の連絡が損害保険会社(共済)から来て,等級に納得がいかないあなたも,さらには異議申し立てを検討しているあなたも,相談対象です。あるいは,後遺障害認定手続を被害者請求で行いたいというあなたも,相談対象です。直ちに私どもに御相談下さい。異議申し立てをした場合の見通しについても含めてお答え致します。