- 1.逸失利益の計算方法
- 2.死亡逸失利益をめぐる問題点
- 3.死亡慰謝料
- 4.死亡慰謝料をめぐる問題
1.逸失利益の計算方法
(1)計算式
基礎収入×労働能力喪失率(100%)×(1-生活費控除率)×死亡時の年齢に応じたライプニッツ係数
つまり,
[1]有職者または就労可能者
現実年収額または学歴計あるいは学歴別の男女別平均賃金×(1-生活費控除率)×67歳までのライプニッツ係数=逸失利益額
[2]18歳未満の未就労者
学歴計あるいは全労働者平均賃金×(1-生活費控除率)×(67歳までのライプニッツ係数-18歳までのライプニッツ係数)=逸失利益額
基礎収入×労働能力喪失率(100%)×死亡時の年齢に応じたライプニッツ係数までは,後遺障害逸失利益と同じです。死亡ですから労働能力喪失率は100%=1ですので,ことさらに数式に入れる必要もないかもしれません。死亡において特徴的な点は,生活費控除を行う点です。
(2)生活費控除及び生活費控除率
これは,死亡せずに生存していたならば,生活費として得た収入の一部を遣っていたはずです。そこで,公平のために将来の収入を賠償する上で,その生活費分を控除することを行います。一種の損益相殺と言われています。そして,その控除は比率(%)で表されますが,類型化がされています。つまり,
[1]一家の支柱(被扶養者1人の場合) | 40% |
---|---|
[2]一家の支柱(被扶養者2人以上の場合) | 30% |
[3]女性(主婦,独身,幼児等を含む。) | 30% |
[4]男性(独身,幼児等を含む。) | 50% |
[5]但し,兄弟姉妹が相続人の時は別途考慮する。 |
(3)基礎収入
基礎収入については,後遺障害逸失利益で述べたことがそのまま当てはまります。それはそこでの問題点が同様に生じると言うことでもあります。