- 1.後遺障害に等級のある意味
- 2.後遺障害等級の系列
- 3.脳損傷(脳外傷)=脳の器質性障害,特に高次脳機能障害の等級
- 4.脊髄損傷の等級
- 5.いわゆるむち打ち症(頚椎捻挫,外傷性頚部症候群)について
- 6.その他の障害の等級
2.後遺障害等級の系列
後遺障害等級については,後遺障害等級表に掲げられていますが,正直に申し上げて眺めただけではよく分かりません。後遺障害認定基準では,体のどの部分(身体部位)の,どの様な障害(障害態様)でグループ分けをしています。この様な例えば,身体部位別・障害態様別の最小区分を「系列」と呼んでいます。例えば右腕の肘関節の障害を考えましょう。
肘は,身体部位では上肢と呼ばれます。障害態様としては,
関節機能に障害を残すもの→関節機能に著しい障害を残すもの→関節の用を廃したもの
と段階が上がっていきます。それに対応して12級→10級→8級と格付けがされているのです。つまり,関節機能に障害を残すもの=12級,関節機能に著しい障害を残すもの=10級,関節の用を廃したもの=8級となっています。
このように,腕の肘関節の障害という上肢の3大関節の1関節について障害態様に応じて系列が構成されています。同様に,頭のてっぺんから足の指に至るまで身体部位別・障害態様別で系列として後遺障害認定基準の構造化がされているのです。
従って,あなたに有利な等級を得るためには,そのことを意識していなければならないのです。例で挙げました右腕の肘関節の障害について「障害を残すもの」の場合と,「著しい障害を残すもの」の場合とでは,「著しい」があるかないかで,12級から10級と2等級違ってくるのです。